たとえば、しばらく前までは、建築現場に施主側の奥さんなり何なりが十時とか三時の「お茶」を持っていくのはけっこう当たり前のことだった。そういうちょっとしたことで「現場」とのコミュニケーションが知らず知らずのうちに取れていたのである。いわゆる「ビジネスライクな関係」を楯にすれば、これはそれこそ「古き良き時代の因習」ということになるだろう。大枚のお金を払っているのだから、ちゃんとするのは当たり前だとお考えになるかもしれない……だが、ちょっと待ってほしい。
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確かに、いまはハウスメーカーも組織とシステムで縛られているし、職人のほうも昔気質の職人は少なくなってサラリーマン化している。そのことはいい、というかいまさら否定してもしようがない、と私は頭では思っているのだけれど、現場を見に行って、どうにも我慢できなくなって爆発することもある。「そういういい加減なことをやっているのなら、現場を止めろ!」と。何を言いたいのかと言うと、メーカー側だけではなく施主側もそういう時代の波に洗われているからには、一方的にメーカーサイドを攻めるだけでは済まないことが多々あるはず、ということ。現場は相手まかせにせず、施主も積極的に気を使っていきたい。だって、家というのは、自動販売機にコインを入れたら出てくるような商品ではないのだから。