一九八五年二月、沖縄のアメリカ軍基地内のビル解体作業中に、耐火被覆材として使用されていたアスベストが露出し、その繊維の飛散が問題として取り上げられて、アスベスト被害の様子がおぼろげながら、一般に知らされることになりました。アスベストは、わが国では机獄と呼ばれる物質で、人体に被害を及ぼすことは、すでに一九世紀から知られており、発ガン性物質であることも、一九六五年ころから、国際ガン研究機関(IARC)やアメリカ環境保護庁(EPA)などから報告されていましたが、わが国で取り上げられるようになったのは、ここ数年のことです。
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アスベストはきわめて細い結晶質繊維で、空気中に飛散浮遊したものは、呼吸で吸いこまれ、肺に達して沈着し、累積して被害症状を現わします。これまで知られているアスベストの吸飲で起こったと考えられる病気は、石綿肺、ひまん性胸膜肥厚、肺ガン、悪性中皮腫など、肺の周辺の疾患ですが、さらに消化器系統のガン、喉頭ガンなどの原因にもなるのではないかと疑われています。吸飲されたアスベストは、すべて肺に達するわけではなく、他の粉塵と同じように鼻の腔や気管に付着し、セキやクシャミなどで排出され、肺に達するのは直径一ミクロン以下のものといわれています。しかし、繊維状なので、長いものでは二〇〇ミクロンといったものが、吸飲されることもあるようです。