今、小学校五年生の下の子どもが、すごくやりたがり屋です。その子が苺を食べる時に、「僕が洗ったろ」と言うのですね。私はあれ嫌だったですね。苺ぐらい、お母さん洗いたいわと言ってたのです。これにはわけがあるのですが。椅子をダダダ……と持って来て流し台の前に置いて、そしてボールに水をはって苺をザーッと入れてね、ヘタを取ってくれるのですよ。私のうちでは、ミルクの中に入れてお砂糖をかけてつぶして食べたりするので、ヘタを先に取っておくのです。
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三歳になる前の頃で、そうするとその時には、右手と左手が上手くまだ動かない。そうすると、グチュ。とつぶれるのですね。両手に力が入りますから、常につぶれた苺になるわけです。そしてそのつぶれた苺を、また水の中へ戻してくれるんですね。もう食べるときはどれが苺だろうかと思うような、水ボケした味の苺を、ある年ずっと食べさせられていたのです。けれども私は寛大な母親ですから「子どもの失敗を許す」のです。「人間は、失敗をしつつ成長する」という教育論に立っていて、「やる」と子どもが言い出した時は、認めていたのです。そして一年間、そういうふうにして子どもがつぶしながら洗っていたのですが、その次の年にまた苺のシーズンになった。すると、子どもがまた「洗う」と言ったときに、ハッと気が付いて苺を見たら、つぶれていないのです。あの柔らかい苺を、フワツと持って、片方はクリツと回すということができるようになっているのを見たときに、おお、彼はこの一年で素晴らしく発達したではありませんかと思いました。