私は男が皆、料理に挑戦しろと勧めているわけではない。人にはそれぞれ得手不得手があるし、「面白くないかも」と見直したにしても現在の会社の仕事が忙しくて、現実的には「帰って寝るだけ」でいるしかない立場の方もおられるだろう。そういう人が無理して料理や洗濯をすることは必ずしも必要ではない。家事に参加することは、暮らしを影の領域から引き出すための手段であって目的ではない。言い換えれば、家事は「つまらなくても、つらくはない」のだから、「つらい」ことに助力すること、つまり女性の家事労働の負担を減らすことは現代の問題ではない。
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問題は「つまらない」ほうにあるので、その状態をいくぶんかでも改善するために必要なのは具体的な助力ではなく、視点の転換である。生きることの意味は仕事ではなく暮らそのものにあるのだ、と回心すれば、暮らしの具体的内容である家事の見方も変わってくるだろう。そうして家事が評価されれば、それが専業主婦のアイデンティティの根拠になり「つまらなさ」もいくぶんか解消されるだろう。