鍵の象徴性

2011.12.23

たとえチャチなものであっても錠のついたスチールドアの普及が、戦後的な「私」の意識の拡大とぴったり同調した現象であることもまた確かである。そのようにして現在さかんに使われているシリンダー錠が、防犯的機能では戦前の玄関の螺子締り錠にも劣るとするなら、現在の日本における鍵と錠の意味、とくに「鍵と組み合わされた錠」の鍵の意味は、外からの侵入を防ぐ仕掛けというより、中へ入る仕掛けとしての機能にあるのではないか、とぼくは思う。

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つまり鍵の主たる役割は防犯ではなく、中へ入る人間を特定することにある。鍵を持つということは、ある空間に自由に出入りする権利を得るということに等しい。その鍵に対応する錠が必ずしも堅固でないとすれば、鍵の機能は物理的というより象徴的になる。同じ鍵を持つ者同士は、その鍵で入れる空間を通して人間関係を結ぶ。




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